仕事を通して「あ、こういう事って社員のモチベーションを下げるな」と
感じる事をあげてみます。
私が「感じる」だけでなく、実際にそこで働く社員さんから
「マジ、やる気下がるわ―」という声と御相談も頂いているので
効果の程は保証付きです。

 

電気とココロのスイッチオフ

 

これは現場に遭遇して私もやる気が下がりました。

12時になり、お昼休みになると社長が立ち上がり
オフィスのスイッチを切り始めました。
日中なので真っ暗ではないのですが、切る前とは格段に暗い。
私と打ち合わせをしている経理担当の方はもちろん
一旦戻ってきた営業の方も書類作成真っ最中。

慣れてもいるので驚きはしませんが、やはりいい気はしません。
社員さん達は「慣れた」というか
「経費削減・経費削減っていうけど、こんな事して
電気代がいくら下がるんだろうねえ」という諦めモード。
さらに
「社長が勝手に買ってくる、いらないモノを買うのをやめればいいのに」と
真っ当な意見も出てきます。

社長は昼休み中の照明は無駄なのでカットしたい事と
労務管理上、昼休みはしっかり休んでほしいので
照明をカットしている、との事です。
さらに、これを通してコスト意識を高めてほしい、との事。
電気代も電話代も全てお金がかかっているという事を理解してほしいそうです。

コスト意識を持ってほしい、と言う気持ちは私も分かりますが・・・。

 

 

小さい既得権益のカット

 

置き薬を置いている会社は多いと思います。
定期的に補充してくれる会社に依頼していたり
会社の救急箱の中身が減れば社員さんが買ってきたり。
また、置き薬は無いけれども、体調が優れない人がいれば
その都度買ってきたりする会社もあると思います。

ある会社で置き薬を辞める、と社長が通告しました。
理由の1つが「税務署が認めない、と税理士から指導を受けた」そうです。
社員さんから電話を頂いて、知りました。
もちろん、いわゆる置き薬や常識の範囲内で社員さんの健康維持や
業務上のケガの治療の為に医薬品を購入することは
税務上の問題はありません。

社員さんから
「風邪の引きはじめに薬を飲んで酷くなる事を防いだ方が
休んで店に穴を開けるよりも良いのではないか?」と指摘を受けましたが
まったく持ってその通りだ、と私も考えます。
店を切り盛りする中核の社員が突然休んだり、休まずとも
体調不良でパフォーマンスが下がる事は、薬代よりもダメージが大きいです。
体調管理も仕事のうち、なのは確かですが、病気にならない人間はいません。

さらに、「最近、売上が少ないから、分かりやすいところから削っている」と
愚痴を仰っておられました。

 

 

結局は関係性と一貫性の欠如では?

 

思うに、ある種の社長さんは社員のモチベーションを下げる天才です。


スイッチを切る社長さんはコスト削減の為とコスト意識を社員さんに
持ってもらいたいから、スイッチを切りました。
置き薬をカットする社長も同じで、コスト削減と既得権益化していて
私物化しお手盛りになりかけている置き薬をやめたかったのです。

コスト削減、コスト意識、害ある既得権益の撤廃は重要です。
特に二代目社長は既存社員の既得権益と闘う場面がでてきます。
会社に害をなす既得権益とは対峙していってもらいたいです。

 

では、問題はどこにあるのか?
私は一貫性の欠如、関係性だと思うのです。

2人の社長はコスト削減を目的にしています。
いまどき、コスト削減を知らない社員はいませんし
無駄な経費を使ってやろうというバカ野郎はなかなかいません。
だから、社長がコスト削減を叫ぶ事に理解できる社員の方が多いと思います。

しかし、当の社長がコスト削減を行っていない、と
社員の目に映っているとしたら、どうでしょうか?
そもそも「コスト削減しろ!節約しろ!」と言われるのは面白くありません。
その面白くない事をやらせている、という事実も大切です。

そして、大切なのは、社長が実際にコスト削減をしている・していないのではなく
社員の目にどう映っているか?が問題だ、という事です。
社長が言っている事とやっている事が違うとなれば当然モチベーションは下がります。

ここで「俺は社長だから、いいんだ」と開き直ると、最悪です。
自分たちが少しずつ積み重ねたコスト削減の実績を
社長の独断で買ってきたつまらない買い物が一発で帳消しにしてしまう。
それを社員さんが知っている。あー、もう、最悪です。

 

昼休みにスイッチを切る、置き薬を撤廃する。
事前にその意味と目的を社員さんにきちんと説明する事は当然として
社長がコスト削減を叫ぶのであれば、自分自身が率先してコスト削減をしなければなりません。

言行一致。


不一致があると、社長の思惑が社員さんに透けて見えます。
浅薄で短絡的な考えが透けて見えると、社員さんがやる気を失います。
この浅薄で短絡的な考えは、社長の自己中心的な自己都合だったりします。
言葉を変えれば「わがまま」ですね。
人のわがままに付き合わされるのは面白くないです。