資金調達コンサルタント、という存在を知ったのは何年も前です。

私達、税理士事務所も御客様の新規開業時、追加融資時には
事業計画書を一緒に作成したりしますし
借入申込時には金融機関に同行したりもします。

それでお客様の事業が円滑にまわり
業容拡大、利益増加に繋がれば、至上の喜びです。

ただ、私は金融機関に勤めた経験はありません。
金融機関で働いている方に比べれると、融資の現場がどうなっているのか?
どんな制約があったり、どんな力学が働いているのか?は
ほとんど分かりません。
金融機関で働いている友人に聞く程度です。
(ただ、私はあけすけにずけずけと聞く方なので、聞かれる側はイヤな顔をしたります。)

資金調達コンサルタント、という方々は、この辺りにも精通していて
新規借入が困難と見込まれる会社にも融資を引っ張ってくる、というのが
私の偏見です。
偏見なので、合ってるかどうかは、すいません、分かりません。

現場で「融資、断られちゃったよ」という話を聞くのが、正直つらいです。
なので、資金調達コンサルタントとの協同や
自分自身の資金調達コンサルタント化は超重要事項です。

でも、ただ、資金調達さえすればよいのか?というと
そう簡単ではないと考えます。

いろんな方が相談に来られて、いろんな話を聞いていますが
「借入さえできれば、うまくいく」という思考の方が
意外にも多いのには驚きます。
新規開業時ならいざ知らず、すでに何年、十何年もやっている方が
その思考ではまずいのでは?と話を伺いながら感じます。

確かに、カネが無いとできないことはたくさんありますし
資金の保有量・投下量によって今後の事業の行く末も決まるところがありますから
一概に言えませんが、借入さえあれば事業がうまく行く、という短絡的な発想は
とりあえず、この場をしのげりゃいいか~という刹那的な感じがして、ヤバイ!と思います。

ある税理士さんから聞いた話ですが
相談に見えられた方は、かなり資金繰りが悪いようで
過去数年の決算書をさら~と見るだけで容易に分かる、という有り様だったようです。
しかし、危機感を持ったのは、ここ1年くらい、とのこと。

理由は、資金が回っていたので、儲かっていないとは
全く思ってもいなかった、というものでした。

事業が赤字なのか、在庫・売掛金増加で資金が枯渇していくのか
おそらく(というか、ほぼ間違いなく)両者のミックスで枯渇していくんでしょうけど
さらに、この会社は無理な投資もあったようでして
とにかく、商売をすればするほどお金が無くなる状況だったようです。
しかし、お金が無くなりそうになると、融資を申し込み、しのぐ。
事業は全くの赤字なのに、追加融資で資金繰りを回していただけなのに
経営者さんは「儲かっているなあ、うちって」というものだった、というのです。

そして、「儲かっていない」ことに気付いた理由は、追加融資を断られ
強制的に現実に向き合わされた、から、というものでした。

その後どうなったのか、話を聞いた税理士さんにお会いしていないので
分かりませんが、どうなったんでしょうか?
今、急に思い出したので、気になります。

当たり前すぎて恥ずかしいことを書いてしまうのですが
借入をする、っていうことは数ある手段のたった1つでしか無い、ですよね。
明日の手形をどうやって落とそう?という会社さんにとっては
今日の追加融資が超短期的には超重要ですが
長期的にはもっと大切なことがありますよね。

それは、書くのも恥ずかしいですが、黒字にするってことですよね。
黒字にするまでの繋ぎ資金としての追加融資。これが正しい姿の1つだと思います。

もちろん、資金調達コンサルタントさんの多くは
この事が分かっていらっしゃると思います。
問題は、資金調達コンサルタントさんに依頼する側にあって
そこのところに取り組まないと本質的な解決は無い、と考えています。