私の場合、妻と父が保証人として要求されました。2004年の事です。

保証人を出さないと融資が下りない、というような事を
明確に言われたのか暗に言われたのか記憶に無いです。
ただ、保証人を出さないと借りられないのか・・・
半年前に結婚したばかりの妻までも・・・と、うなだれた記憶があります。
今でもあの時の虚脱感がカラダに残っています。
当時の国民生活金融公庫静岡支店の2階、融資のカウンターでした。

 

「税理士」という国家資格はあるものの
たった300万円を借りるだけでも
こんなに苦労をするんだな、と鼻っ柱を折られた気分でした。
思い上がってた30歳には良い薬でした。

 

現在、連帯保証人ついては第三者保証は求めない方向になっています。
第三者保証とは借りる人(主債務者(しゅさいむしゃ)と言います。)と
別生計である人をいいます(かなりざっくりした言い方です。)

 

そして、個人事業と会社組織(法人)で借りる場合では話が違ってきます。

 

個人事業で借りる場合、借りる人(主債務者といいます)は個人です。
私の場合、酒井文人という人間が借金をし
妻と父が連帯保証人になりました。

 

法人で借金する場合、法人が主債務者で、代表者が連帯保証人になります。
弊社の場合、ラークスパービジネスサポート株式会社が主債務者で
代表取締役である酒井文人が連帯保証人です。

 

少しわかりにくいですが、ここは重要なところです。

 

個人事業の場合、私でない人が連帯保証人になっています。
妻であり、父です。妻と私は一心同体としても、父は別です。
私が返済不能になれば、父に被害が及びます。(私に代わって返済しなければならない)
現在、父が保証人として求められる事は、ほぼありません。
これが第三者保証を求めない方向という意味です。
そして、妻も連帯保証人にならないと「無保証人」という事になり
開業時に私が目指したものでした。

 

法人の場合、法人と私は一心同体です。
法人が返せなくなれば、私が返さなくてはなりません。
しかし、妻には返済義務が生じません。
あくまで、私自身で完結します。

 

 

開業時に個人事業で開業するか、法人を設立して開業するかで
連帯保証人の意味合いが異なってきます。
ここでは、個人事業で開業することを前提にします。
保証人となる対象は配偶者がいれば配偶者を
配偶者がいなければ親を前提に考えてください。

 

 

保証人は結論から申し上げると、いた方がいいです。

 

保証人を付けることが可能であれば、つけてください。
保証人がいれば、実務上、借りられる上限が増え、金利が低下します。
人情で考えれば、保証人なんて無い方がいいに決まっています。
私も半年前に籍を入れた妻と父親を保証人になんて入れたく無かったです。
しかし、いた方があきらかに借りやすくなるのが実情です。

 

まず、借りられる上限額の増加から見ていきましょう。
貸す側から見れば、保証人がいた方が返済してもらえる可能性が
高まりますから、いた方が貸しやすい、という事になります。
これまで「他に保証人がいればもっと出せるんですが・・
(又は、貸す事ができるんですが・・・)」という
やり取りは何度もありました。
保証人がいれば貸しやすい
きちんとした保証人であれば
さらに貸しやすい、という貸す側の論理は確かにあります。

 

では、具体的に何円増加するのか?を考えてみますと
これは難しいです。
開業する方の事業プランにもよるところが大きいです。

 

借入の審査は全体像をみて行われます。
形式的なところもあり、個別具体的なところもあり、で
一概に言えないところがあります。

 

 

次に、金利を見てみましょう。
金利の違いによる影響は大きくありません。

 

こちらの日本政策金融公庫の貸出金利一覧をご覧ください。
「2 担保を不要とする融資を希望される方」の
「9年超10年以内返済」の「特利A」は2.20%です。(平成26年4月9日現在)
「3 新創業融資制度(無担保無保証人)を希望される方」の
「9年超10年以内返済」の「特利A」は2.40%です。(平成26年4月9日現在)

 

0.2%の違いがあります。
0.2%が大きいか小さいかは計算すれば分かりやすくなります。

 

1000万円を10年(120回)返済で借りたとします。
2.20%の場合、10年間に払う利息は1,109,113円
2.40%の場合は1,209,960円になります。
差額は100,847円です。1年あたり10,084円、1カ月あたり840円です。

 

この金額が大きいか小さいかは借りる方の価値観によります。
私は小さい、無視できる金額と考えます。

 

0.数%の金利にこだわって借りられたものが借りられなくなることの
損失は金額に換算できないほど大きなものになります。
であれば、1カ月あたり数百円程度の違いは無視して
さっさと借りてしまって商売を始めてしまった方がいいと考えます。

 

 

 

では、どうするのがよいか?
保証人を付けても全然OK!という人は最初から伝えてください。

 

付けたくない、という人は保証人の準備だけしておいて
まずは保証人無しで進めてみましょう。
最初に「保証人がいます」というと、保証人ありきで話が進んでしまいます。
なので、最後の最後まで内緒にしておき
「保証人無しで借入を行いたい」と意思を明確に伝えます。
金利が増えたり借りられる額が下がるかもしれませんが
借りたい額が借りることができれば、それでOKです。
借りたい額に届かない時に「保証人を付けたらどうなりますか?」と
交渉してみましょう。
貸す側にとって有利な提案なので、必ずのってくれますよ。

 

 

 

最後に、開業時に借りた300万は完済し、今は新たに借入をしています。
無保証人で借りています。
返済した実績と商売の実績があれば、無保証人とする事は
さほど難しいものではありません。

 

 

 

追伸

 

平成26年5月現在、連帯保証人に関する事は流動的です。
平成25年12月に「経営者保証に関するガイドライン」が発表されました。
一定の条件のもと連帯保証人を求めない、などの方向性・基準となる考え方が
記載されています。
この結果、金融機関は連帯保証人を求めない融資を行っています。