それは「償却前利益」です。
償却前利益は簡易キャッシュフローとも言われます。
金融機関の審査でも見られるポイントです。
償却前利益とはウィキペディアによるとこう書いてあります。

 「税引前利益に、特別損益、支払利息、および減価償却費を加算した値である。
 損益計算書上に表示される会計上の利益ではない。
 2000年前後には財務指標として広く利用されていたが
 2002年のワールドコム破綻の際に、指標としての欠点が問題となった。」

 
これで分かれば、会計学の教授になれると思います。
で、分からなくてもいい、と私は考えています。
だって、会計学の教授になるわけでなく
我々は役立つものが欲しいだけですから。
 

 

手っ取り早い話、以下の計算式の結果です。
売上-仕入-経費(減価償却費除く)

売上は入金、仕入と経費は支払、です。
上記の計算式は「入金-支払」という意味です。
償却前利益がプラスということは
「売上の入金で仕入と経費を支払を全てまかなえる」という事でもあります。

売掛、買掛のように売上・仕入と入金・支払のタイミングが
ずれる事は良くありますが、いずれは入金され
いずれは支払がおこります。
そこでタイムラグを無視して、少し長い目で見ると
償却前利益がプラスということは
売上で支払をまかなえている、ということになります。

減価償却費をなぜ除くのか?

減価償却費は、過去(今より昔)に買った一気に経費にできないものを
年割で経費にしているものです。
減価償却費は計算上の経費で、実際の支出はありません。
昨年、現金払いで買った100万円のクルマの減価償却費が
今年計上されていても今年は車代を支払いません。
実際の支出が無いので、除いています。

 

では、ローンで買ったらどうなるのか?

「売上-仕入-経費(減価償却費除く)」の差額から、ローンを返済する、と考えます。
償却前利益は、銀行に返す返済金、ローンの返済金の原資となります。
つまり、償却前利益がマイナスだと、売上の入金で仕入と経費がまかなえず
手持ちの資金を取り崩して返済するか
新たに借入をして返済をする事になってしまいます。

新しく買う機械の支払はどう考えるのか?

「売上-仕入-経費(減価償却費除く)」の差額は
新しく買う機械の購入原資でもあります。
銀行から借りなくても、リースにしなくても、ローンを組まなくても
償却前利益がプラスで、そのプラスでまかなえそうなら
現金で購入できる余力がある、という事になります。

 

では、どう使い、何が分かるのか?

償却前利益は、1、返済原資、2、新規設備投資の原資、の2つの顔があります。
返済原資の枠内でしか返済することはできませんから
(無い袖は振れない)
借入金の返済額を償却前利益の範囲内に収めるように
ハンドリングしていくことが大切です。

 

銀行と交渉する場合も償却前利益の範囲内の
条件変更であれば分かりやすく、理解を求めやすくなります。
銀行員の思考の範囲内になりますから。
と、ここまで書きましたが
当ったり前の事をいかにも難しく言っているだけ、と
いうのが会計学や税理士だったりします。
入金で支払をまかなうなんて当ったり前のことで
入金と支払のうち返済を除いたものとの差額でしかありません。
なので、みなさんが商売されていて
普通に考え、気にするところを難しい名前を付けているだけだな、と思います。