朝からお客様の会社に伺う。
申告書にサインと印鑑を頂いて、一安心。
そこで、懸案となっていた次期の役員報酬の話へ突入・・・。


<役員報酬を考えるときの前提条件>
(注:この前提は「税務」を主としての考えです。絶対的なものではないです)

その1 役員報酬は、「定時・定額」が基本。

つまり、決まった時に決まった額を会社が役員に払うことが原則。
それ以外の変動的なものは、基本的には「役員賞与」として
税務上の経費(専門用語で損金「そんきん」)にならないのです。
(変動的な役員報酬も損金として認められることもできますが
 それはナイショ。)
具体的には決算書では費用にして、税額を計算する時に賞与分を除いて計算します。
 
その2 会社は法人税。役員は所得税。

法人税は、中小企業の場合、課税所得(税金が掛かる利益。決算書の利益とは違うので注意!)
800万円までは22%。越えた部分に対して30%
地方税も合わせると、「ざっくり」で30%から35%。
これに均等割が加わる。

個人は、課税所得の多少により段階的に税率が変わる。
課税所得330万円までの部分は10%。
330万円超から900万円までは20%
900万円超から1,800万円までは30%
1,800万円超の部分は37%。
これに住民税が加わる。


つまり、ある金額までは、会社に利益を残さずに役員報酬でがばっと取ったほうが
「会社+役員」の合計の税額が低くなるのです。



売上、粗利益率の変動が少ない業種であれば、さくっと役員報酬は決まる。(決まりやすい。)
しかし、この会社は売上の変動がとても大きい。粗利益の変動もとても大きい。
爆発すればとんでもないが、火がつかないと逆の意味でとんでもなくなる。

アドバイスを求められるが、次期の見通しが立たないと何とも言えない。

そこで、この話をした。

<役員報酬を考える時の前提条件 その3>

結局は、「会社」という箱に入った利益を、どれだけ役員が取って
どれだけ会社に残しておくか?ということに集約される。
つまり、会社にお金を残しておきたい、ということであれば
役員報酬は少なめにして、法人税をそれなりに払う。
これを繰り返して、会社に利益を蓄積させる。


何時間もの対話の中で、実現の可能性の高い商品から粗利益の見込みを固めていった。
社長と奥さんも考えが整理でき、利益の蓄積の方針が決まり
役員報酬がバチっと決まった。
ふ~、一段落。

次期の役員報酬を考える、という行為は、結局、
次期、時期以降の自社の姿を考える、ということになると思います。
役員報酬を通して、自社の未来に思いを馳せてみては?

P.S.
役員報酬の期中変更がしにくいのは、やっぱり足かせですね~。