資金繰りは中小・零細企業経営そのもの

 

開業してから今年で11年目。
その期間のほとんどはお金に困る期間でした。
お金が心配で眠れなかった日が3日あります。
(たったの3日か!と怒られそうですね)
いやー、もう、あんな思いはしたくないです。

「税理士さんだから」とは良く言われるのですが
「税理士さん」だからこそ、お金に困っていたとも言えます。

真面目に勉強してきて、資格をとって
会計事務所で働いて実務を学んで来ただけですから
どうやって売上を獲得すればいいのかなんて、分かんない。

経営学者が実際に会社を経営してもダメなのと同じで
税理士は数字の管理と整理は得意ですが
数字の「創造」は苦手なのです、はい。税理士試験に無いですから。
今でも得意だとは言えませんよね-。日々、修業であり、現実との格闘です。

資金繰り管理も同じです。


昔を思い出すと
月末の支払が不安で不安で、将来が不安で不安で
無鉄砲に独立した事を後悔しながら
眠れない日が3日ありました。
不安で意味もなく家に帰れず事務所にいた時期がありました。
が、しかし、今から考えれば、どん底、という訳ではありませんでした。

意を決して、近所の信用金庫に行けば、なんとか貸してくれました。
数年前の正月明け、仕事始めの日に融資が実行されました。
今年最初の仕事が弊社の貸付だったそうです。
先行投資で人員を増員し、運転資金が危険水域に突入。
年末から交渉を重ね、なんとか実行にこぎつけた借入。
その時の営業さんの視線・態度は今でも忘れる事ができません。
しかし、その経験が今の私の資金繰りに対する
根本姿勢を作りあげる大きなきっかけであったと思います。

その程度の税理士が書く資金繰りについての事です。
現在、どん底にいる方には役に立たないかもしれないコラムです。
ただ、実践の中から得た事を書いていきます。

 

 


ゴールとは?

 

資金繰り対策のゴール。

資金繰り対策を実行した後、どのような状態になっているのか?
この状態が、ゴールです。

 

私がトンネルの中にいた時、こう思いました。

「こんな思いは、もうイヤだ。」
「カネが無いのは本当にツライ」
「資金繰りの事を考えるのが、すごくイヤ」

 

私が考え、実践している資金繰り対策のゴールは

「資金繰りしない状態」

です。

資金繰り対策という言葉が存在している前提は
日々・月々の資金繰りを考えなければならない状態である、という事です。
私はその状態がとてもストレスフルでした。
そして、もうあんな思いはしたくない、という気持ちでいっぱいです。
なので、資金繰りを考えなくてもいい状態、資金繰りから解放された状態を
ゴールに設定しました。

資金繰りを考えなくてもいい状態、資金繰りから解放された状態とは

  • カネがたくさんある(ストック面)
  • 毎月(毎年)、売上(収入)で全ての支払が賄えて、かつ、カネが残る(フロー面)
  • 上記2つが継続する。

この3つが満たされれば、資金繰りを考える必要はありません。
資金繰り表を書いて収支をまとめる必要もありません。
(精神衛生上、必要であれば書いてもいいと思います。)
とにかく、私は私の脳味噌から「資金繰り」という言葉を抹消し
資金繰りごときに仕事の時間と自分の労力を使う事を拒否する事を決め
その状態になる事を目標としました。

「これって、儲かってるってことじゃん」と
思われるのならば、あなたは素人です。
ただ儲かるだけでは、ダメなのです。
儲かるだけでこの状態になるのならば
凄まじく儲かる必要があります。
それは、私のような凡人の税理士には困難です。

 

冒頭書いた通り、資金繰りは零細企業経営そのもの、です。
資金繰りを通して、私が学んだことを書いていきます。
自分のたな卸でもあります。