「節税」
税金を払いたい。積極的に支払いたい・・・・という人はいないと思ってます。
もしそういう人がいて、税金を支払い足りないなら、国に寄付をすればよいでしょう。
上限を超えての「ふるさと納税」もありかもしれません。
しかし、「脱税」はマズイ。
気持ちは分からなくもないけども、これは犯罪です。
なので、「節税」。
節税を考える時に、当り前だけど忘れがちな覚えておいて欲しいシンプルな事があるんです。
いつでも「税率差」を利用する
覚えておいて欲しい事。それは「税率差」です。
税金の金額は「利益(課税所得)×税率」という計算式で求められます。税金の金額を決定する2つの要素は「利益」と「税率」です。当たり前すぎて当たり前なんだけど「税率」は忘れがち。「利益」の額を減少させようという事ばかりに意識が向いて、「税率」を下げようという着眼点が少ないように思う。
あと、節税という言葉は「税金を減らす」という事だと思うけど、「税金をゼロにする」、「税金を何が何でもゼロにしてやる!」というイキオイの人もいます。会計事務所の人の中にも「税金をゼロにできる人がエライ!!」的な考えの人がいて、確かに少ない方がいいけど、ゼロにする代わりに何か他の何かを失っているような人もいたりすると思う。
税率構造を把握する
税率差を使うには、税率構造を把握しないといけません。
現在(平成28年11月)の法人税+地方税の税率は、ざっくりで
・800万円までの部分には約25%(本当はもう少し低いです。)
・800万円超の部分は約37%(本当はもう少し高いです。)
が適用されます。
同じ100万円でも、利益が800万以下なら25万円を支払う事になり、800万円を超えた部分の100万円なら37万円を支払う事になります。利益は100万円でも税率が異なるので、同じ利益額に対する納税額が異なる事になります。
なので、1つの考え方として法人の利益が例えば1,000万円だとすると、支払う法人税は
・800万円以下の部分:800万円×25%=200万円
・800万円超の部分:200万円×37%=74万円
の合計274万円となります。
1000万円をなんとかしてゼロにしようとすると、かなり無理な事を行う事になるかもしれません。
なので、800万円を超えている200万円部分だけど翌期以降に繰り延べてあげるような事を考える、つまり、最低税率の25%の課税は甘んじて受ける(諦める)という選択を行うのです。どうせ、利益が出れば課税されるので最低税率分は諦めよう、この日本で商売できるショバ代だと思ってお国に支払おう、という事です。
すると、200万円×25%=50万円となり、24万円の節税に成功したこととなります。
え、これだけ・・・と思うけれども、実は奥深い
法人税は税率がシンプルなので、説明もシンプルになります。
しかし、個人の所得税は税率構造が6段階あります。個人の場合、社会保険料を考慮する事も必要だったりします。法人税と個人所得税&社会保険料、また、社会保険料も自己負担分と会社負担分をどう見るか?これにもよります。
例えば、個人事業主の場合、繰延資産の償却は任意です。
利益が出た年にドン!と償却して課税所得をゼロにして所得税&翌年の住民税をゼロにする事もできますが、翌年以降も利益が出ることが見込まれるならば、あえて課税所得をほどほど出しておいて、翌年以降の高い税率が課される部分の所得を消すために繰延資産償却費を保存しておく、なんてこともできます。(これはレアですが・・・)
また、相続税&贈与税をセットで考えて中長期的に相続税の節税を図る為に積極的に贈与税を支払う事もできます。
何が何でも税金をゼロにしてやろうとすると、無理が出てきます。
しかし、最低限、または、ある程度の課税は甘受する覚悟があれば、長い視点での節税が可能になります。また、儲け続ける事を前提とするならば、その方がトータルでお得だともいえます。