贈与契約書を取り交わした時期と実際にお金を振り込んだ日が異なる年になってしまったとき、いったいいつの年の贈与になるのか、悩むところです。
口頭なら振込日、書面なら書面の日付
「いつ贈与があったのか」について、国税庁のタックスアンサーに以下のとおりの記載があります。
(1) 口頭による贈与の場合 贈与の履行があった時
(2) 書面による贈与の場合 贈与契約の効力が発生した時
(3) 停止条件付贈与の場合 その条件が成就した時
(4) 農地等の贈与の場合 農地法の規定による許可又は届出の効力が生じた時
(相基通1の3・1の4共-8、1の3・1の4共-9、1の3・1の4共-10)
国税庁ウエブサイト:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402_qa.htmより
口頭による贈与とは口約束の贈与です。贈与契約書など書面が無い場合が該当します。口頭による贈与の場合は贈与の履行、つまり振込があった時が贈与があった時とされています。例えば、今年、「100万円あげるね」「ありがとう!」という話があり実際に振込があったのが来年だとしたら、来年の贈与になります。
書面による贈与、代表的なものは贈与契約書を作成した場合は、贈与契約書の効力が発生した時に贈与があったとします。贈与契約書の効力が発生した時とは通常、贈与契約書に記載されている日付です(この日付の日に贈与契約書を作成したと思われるため)。従って、贈与契約書の日付となります。
贈与契約書の日付を確認しよう
今回の事例では、贈与契約書が取り交わされていることから「贈与契約書の日付」の年に贈与があったとみなされます。
贈与契約を撤回したら?
贈与契約書を作成したものの「やっぱりやめよう」という事で贈与契約を無かったことにしよう、という事もあるかと思います。
その場合でも原則的には贈与はあったとして扱われ、贈与税の課税対象となります。
しかし、課税の公平を乱さずに次の全てを満たす場合は、税務上では贈与契約が無かったものとして取り扱うことができるとされています。
(1) 贈与契約の取消し又は解除が当該贈与のあった日の属する年分の贈与税の申告書の提出期限までに行われたものであり、かつ、その取消し又は解除されたことが当該贈与に係る財産の名義を変更したこと等により確認できること。
(2) 贈与契約に係る財産が、受贈者によって処分され、若しくは担保物件その他の財産権の目的とされ、又は受贈者の租税その他の債務に関して差押えその他の処分の目的とされていないこと。
(3) 当該贈与契約に係る財産について贈与者又は受贈者が譲渡所得又は非課税貯蓄等に関する所得税その他の租税の申告又は届出をしていないこと。
(4) 当該贈与契約に係る財産の受贈者が当該財産の果実を収受していないこと、又は収受している場合には、その果実を贈与者に引き渡していること。
国税庁ウエブサイト:https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/640704/01.htmより