亡くなった後に遺族=相続人の口座に生前の入院費・手術費用に
かかる高額療養費、生前の休職期間にかかる傷病手当金、市役所等から
埋葬料が振り込まれる事があります。

これらのうち、高額療養費と傷病手当金は相続税の課税対象となります。
埋葬料は相続税の課税対象にはなりません。

 

課税対象となる理由

 

高額療養費や傷病手当金は本人が申請し、本人が受給するものです。
本人が亡くなった場合のみ相続人が申請し、相続人が受け取る事になります。
亡くなった場合であっても原則の本人が受け取る事には変わりはなく
他界しているために代理人である相続人が申請・受給をしているに過ぎないのです。
その為、高額療養費は亡くなった方の財産の一部と言えます。

また、長期療養をしている場合で生前に高額療養費や傷病手当金を
受け取っていた場合、そのお金は亡くなった方の現預金となりますので
相続税の課税対象となります。ここは問題ないと思います。
ここで、亡くなった後に受け取ったものが相続税の課税対象から外れる、と
なりますと、亡くなった日を挟んで課税の取扱いが変わるため
不公平となります。
それが可能であれば、相続税節税の為に高額療養費の申請を遅らせる
期限が2年間ですから、ギリギリまで遅らせる、という相続税の節税手法が
生まれてしまいます。

 

埋葬料の扱い

埋葬料は相続人が受け取るものであり、亡くなった方本人の財産ではありません。
生命保険金や死亡退職金は亡くなった方の財産ではありませんが
相続税の課税対象となす「みなし相続財産」となります。
埋葬料は「みなし相続財産」にも該当しません。(相続税法基本通達3-23(7))

 

 

健康保険法との兼ね合い

健康保険法第62条には、高額療養費や傷病手当金には税金を課さない旨が
定められているため、高額療養費や傷病手当金には相続税がかからない、と
するサイトが見受けられるようです。

健康保険法第62条の規定は、高額療養費や傷病手当金等の保険給付を
受け取った事に対して所得税・住民税・事業税のような稼得所得に対する
課税を行わない事を定めた事であると思われます。

税の世界では「公平」をとても重視します。
亡くなる前後で課税の取扱いが変わるのは公平から外れます。
その観点からも、亡くなった後に振り込まれる高額療養費や傷病手当金は
相続税の課税対象と考える事ができます。

 

 

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