残念ですが、本当にあります。

 

納税者が税務署に質問に行かれる。
個人事業者だったり会社だったり。または、勤めている方が相続税のことを。

たまたま応対してくれた税務署の方に質問をしたところ
「いいですよ」とか「大丈夫です」と言われ、笑顔で帰宅する。

その一部始終を私たちが伺ったところ「それはダメです」と言わざるを得ない時もあります。

 

目の前のお客様は一税理士(私)の意見より税務署の人の言葉を信じます。
権力がある役所が言うのですから、当然です。
さらに、「大丈夫」の方がお客様にとって都合がいいので、都合がいい方の意見を採用したい、という気持ち働いたりすると、税務署の人の意見を採用したい気持ちが加速しても仕方ないと思います。

 

なぜ、こういう事が起こるのか。私が考える理由は2つです。

1つ目は、税務署の方も何でも知っている訳ではありません。

税務署が扱う税目は多岐に渡っているので、税目ごとに扱う課をわけています。
なので、税務署の方は自分が扱ってきた税目に関しては詳しいです。(と、思います。。。)
しかし、自分が扱うようになってから間もない税目や、全く関わってこなかった税目の事は、ほぼ分かりません。

税務署の人にも専門分野がある、という事になります。
相談に対応してくれる方はその税目を専門にしている事が多いのですが、全ての方が本当に詳しいかというと「?」がつきます。

 

2つ目は、前提となる事実の把握の違いです。

ご相談を頂いて回答するためには、事実関係の把握が必須です。
なので、事実関係の把握に時間をかけます。

我々は質問を繰り返したり、「これこれの資料を用意して、また来週お会いしましょう」と言えます。これにより、詳細な事実関係を把握して正確な回答を行う事ができるようになります。

しかし、税務署の方は相談に来たその場にある材料だけで回答をせねばなりません。
また、相談者が話したことだけで回答をしようとする方が税務署の相談担当だったとしたら、その回答に至った事実が漠然としていたり、伝え漏れている事があれば、回答は誤りだったり、勘違いだったり、的外れであったりすることもあるかもしれません。

 

事実関係が異なれば、当然、回答も異なります。
実際、「このことを税務署の方に伝えましたか?」と質問しますと「いや、聞かれなかったから答えなかった」という回答を頂くことがあります。これでは、税務署の方と我々とで回答が異なっても仕方ありません。

 

その他、税務署の方もいろいろな方がいますので、親切な方もいれば、そうでもない方もおられるのは事実です。また、人により価値観が異なるので、スパッと割り切れない時にどういう判断をするかにもよります。ここら辺は人間だから、当然だと思います。

税務署に相談される際には、こういう事を承知した上で相談されると良いと思います。

 

 

 

こういう風に書いていると、ダメダメ言う税理士事務所に捉えられるかもしれませんが、実際には逆だと思っています。
税務署の方が「ダメではないか」と言った事が本当にそうなのか?と吟味し検討する事も行っています。

税務署の方が「OK」と言った事を「NG」という。
税務署の方が「NG」と言った事を「OK」という。

反対の事ですが、同じことをしているつもりです。