【御質問】
親から子供へお金を貸すと贈与税がかかるかもしれない、と友人から聞きました。
何に注意すればいいでしょうか?


【回答】
住宅の建設や結婚時など、人生のイベントの時など、親から子供へお金を貸す事があります。
この時、贈与ではないか?と言われる事が時々あるようです。

贈与は、AさんがBさんへお金や物を無料へ渡す行為です。
これが成立する為には、AさんはBさんへ「あげるよ」という意思を
BさんはAさんへ「貰うよ」という意思を伝えあう必要があります。
この両者の意思があって、初めて贈与は成立し、贈与税の対象となります。
仮にAさんは「あげるよ」というつもりでも、Bさんは「いらない」という意思であれば
贈与は成立しません。
Aさんがあげたいものは、Aさんのもののままです。

親から子供へお金を貸すと、「ある時払いの催促なし」になりがちです。
「ある時払いの催促無し」の場合、実際にキチキチ返済を行うか、と言われると
いかがでしょうか?
返す人もいるかもしれませんし、いないかもしれませんね。

「ある時払いの催促無し」では、Aさんはあげるつもりかもしれませんし
Bさんは貰うつもりなのかもしれません。

ただ、「ある時払いの催促無し」だからといって、贈与が成立している
とは言えません。
「贈与の事実があった」とは言いきれないし、「無い」とも言い切れない。
このグレーな状態を突いて、贈与税の対象ですよ、と税務署から
言われるかもしれません。


想定されるリスクを予め予想し、避ける準備を行っておく事が賢い人の行動です。

将来、言われもない事でトラブルを引き起こさない為には
下記の事をしておくと、安心です。

1、借用書(金銭消費貸借契約書)の作成
2、実際に返す(振込がお勧め)


1の借用書は、貸し借りの事実があった、という事を書面で明らかにする為に必要です。
銀行で借金する時のようなものものしいものでなくとも
必要最低限の事が書かれていれば十分です。

必要最低限の事とは
1、AさんはBさんに、いつ、いくらを貸した。Bさんは借りた。
2、BさんはAさんに、いつからいつまでの期間で毎月いくらづつ返す。
3、金利はO%
4、返す方法は振込

体裁よりも、貸し借りがあった、という事実が必要です。

ここで金利を何%にするか、という問題になるのですが
私は0%でも構わないと考えています。
つまり、元金のみの返済でOKです。

無金利すると貸し借りではなく、贈与になる、という事もありません。
無金利にすると、金利相当額が贈与になる可能性はあります。
しかし、現在(平成24年12月)の贈与税の非課税枠は110万円です。
110万円までは贈与税がかからないのです。
現在の金融機関からの事業資金の借入は2~3%。
住宅ローンはもっと低いです。
5000万円の2%が100万円ですから、相当な額の貸し借りがないと
金利の贈与が贈与税の課税対象になる事はあり得ません。
(実際は金利は複利で計算します。)


これで、体裁は整いました。
次は、体裁に魂を入れる番です。つまり、実際に返済を行います。
返済方法は振込がオススメです。
金融機関が返済の事実を証明してくれます。
同一金融機関の同一支店であれば、振込料が無料な事もあります。

現金の返済の場合、実際に返済があったかどうか、を
証明する事が、振込に比べて面倒です。
面倒を避けるために、振込がお勧めです。