子どもが小さい時、小さい時というのは未成年の時ですが
子どもがまだ未成年ならば遺言を書いておいた方がいい時があります。

 

遺言が無いまま私が死ぬと・・・

 

私、酒井の場合を例にします。

私の相続人は配偶者の妻と子ども達です。子どもは4人いますので、相続人は5人です。今日(平成28年11月11日)現在、子どもは一番上が小学校4年、一番下は1歳なので、全員未成年です。

なので、私はスバリ、今回の記事に当てはまります。

 

その私が、遺言を書かずに今日亡くなると、妻と子ども達で遺産分割協議を行う事になります。

その遺産分割協議の結論は法定相続分とおり、妻が1/2、子ども達はそれぞれ1/8ずつ相続することになります。1歳の子ども財産を相続することになります。

1歳の子どもに相続させることの議論は無視されて、家庭裁判所を介してそのように遺産分割協議がまとまってしまう事が多いです。
本当は妻が全てを相続してほしいのですが、私の希望は司法の壁により叶えられません。

 

子どもが未成年者の時の遺産分割協議

 

なぜ、こうなるのか?

それは未成年者が法律行為を行うには法定代理人の同意が必要だからです。
法律行為がなんだ、とかはググって頂くとして、結論は未成年者は単独で遺産分割協議ができない。なので、法定代理人が未成年者に代わって遺産分割協議書に署名押印をすることになります。

では、妻が子どもの法定代理人になればいいじゃないか、というアイデアが沸きます。妻は子どもの親権者ですし、未成年者がスマホの契約をするには親の同意が必要という事を思い浮かべても、親である妻が子どもの代理人になることはできそうです。

が、しかし、これはダメなんです。利益相反だからです。

遺産分割協議は「あちらを立てれば、こちらが立たず」の世界で、妻が相続した財産は他の子どもは相続することができないです。妻と子どもの利益は真っ向から対立します。この状態が利益相反です。

子どもの代理人に妻がなると、妻が子どもの代理人である妻と遺産分割協議を行う事となります。
この状態では妻は自分がやりたい放題の状態になり、子どもの利益が守られない、と考えられます。

そこで、こういう場合、特別代理人を選任することが求められています。

 

特別代理人とは

 

親と子どもの利益が対立する場合、子どもの利益を守るために妻以外の人物を代理人として選任することになります。
この選任された人の事を特別代理人と呼びます。

特別代理人は家庭裁判所に申し立てを行い、家庭裁判所が決定します。
裁判所HP:特別代理人選任(親権者とその子の利益相反の場合)

 

遺産分割協議は特別代理人と進めていく、と思うのですが
実は、家庭裁判所に特別代理人選任の申し立てを行う時に遺産分割協議書の案を出します。

その遺産分割協議書はおおむね法定相続分に分割されたものになります。
なぜなら、妻と子どものお互いの利益を守るようにするならば、民法で定められた法定相続分に落ち着いてしまうからです。

 

このようにして、私の遺産は妻と子どもに分けられてしまいます。

遺産を妻と子どもに分ける事はOKだとしても、特別代理人は妻以外の方にお願いすることになります。
妻以外なので、私の両親や妻の両親でもOKです。しかし、両親たちに家庭裁判所に行ってもらう手間をお願いしたり、財産一覧が記載された分割協議書を両親たちに見られるのは私はイヤです。

 

 

自筆証書遺言で十分

 

妻に全てを相続させるためには、遺言しかありません。
「私の財産を全て妻に相続させる」という一文の遺言で十分です。

この遺言があれば、遺産分割協議書を行う必要がなく、全て妻が相続することができます。
また、両親に家庭裁判所に行ってもらう必要もなく、遺産の内容を知られることもありません(笑)。

 

これだけの遺言なので、自筆証書遺言で十分です。
子ども達が成人するまで生きていれば使用しないものですし、子どもが成人するまでに死ぬ意志はないので、あくまでも保険的なものですから。数万円をかけて公正証書をつくる必要は無いと思います。

自筆証書遺言の作り方は、いろいろなサイトがあるので検索して頂くと分かると思います。
また、下記のような自筆証書遺言キットもあるので、こういうものを使ってもいいかもしれません。

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自筆証書遺言の注意点

自筆証書遺言を紙に書いたら、封筒に入れ封をします。書いた人が亡くなった後、遺族が開けてしまうと無効になってしまいます。

これが自筆証書遺言の注意点です。

自筆証書遺言は開封せずに、そのまま、家庭裁判所に持っていき、検認という手続きをしてもらいます。検認の結果、確かに亡くなった人が書いたものだと家庭裁判所が認めて、はじめて法的に有効な遺言書となり、妻が全てを相続することができます。

しかし、配偶者や親の死後に遺言があったら、開けてみたい、と思うのが人情だと思います。それを「開けるな!」というのは無理だと思うのです。

そこで私は封筒に、「開けると無効になるから、開けずに家庭裁判所に持っていってほしい」、「内容は妻に全てを相続させる、というものです」という事を書いておいてあります。

また、遺言は妻に渡してあります。遺言を書いても隠されたままでは意味がありません。
なので、妻に渡し、内容も伝え、もし自分が死んだら開けずにそのまま家庭裁判所に持っていくように、と伝えてあります。