配偶者は相続した財産は
1、1億6千万円まで
2、法定相続分まで
の、どちらか大きい方まで相続税がかかりません。
配偶者の税額軽減が正しい呼称ですが、配偶者控除と言ったりもします。
これを使うと、遺産が1億6千万円までならば、配偶者が全遺産を相続すると
今回の相続では相続税が0円になる、という事になります。
これは便利な制度なのですが、意外な落とし穴があります。
この制度が適用されるには2つの事が必要です。
1つは申告期限までに相続税の申告を行う事。
もう1つは、遺産分割が済んでいる事です。
期限までに申告する事が適用要件の1つ
「遺産が1億6千万以下なので、配偶者が全て相続した事にすれば
相続税がかからないから、何もしなくてもいいよね~。」と
ほったらかしにしていると、この制度が適用されなくなり
ムダな税金を払う事になりかねません。
配偶者の税額軽減の適用を受けるためには
適用を受ける為の表(第2表)を添付して相続税申告を
申告期限までに行う必要があるのです。
遺産が1億6千万以下の場合は自動で適用される、という訳ではないので
ここのところは注意が必要です。
もう1つは、きちんと分割されていること
遺産分割がきちんとんでいる事が要件の2つめです。
遺産分割が済んでいる財産が配偶者の税額軽減の対象なのです。
相続人間で口頭で済ますのではなく、きちんと遺産分割協議書を作成し
書面で遺産分割が完了している事を明示する事が必要です。
遺産分割協議書の写しを添付して申告を行います。
どうしても間に合わない場合は、こうする
様々な理由で申告期限までに遺産分割が済まない事もあります。
揉めているという事だけではなく、大切な人を失った悲しみで
とてもそんな事を相談する気になれない、という事もあります。
しかし、いつまでも何もしないままでは
せっかく使える特例が使えずにムダな税金を払う事になりかねません。
そこで、相続税の申告期限までに遺産分割ができない場合は
「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し
遺産分割が済んでいない「未分割」の状態で相続税申告を行います。
この「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し申告しておけば
申告期限後に遺産分割がまとまった後、4カ月以内に改めて申告することで
配偶者の税額軽減の適用が受けられます。
「申告期限までに仮申告→期限後に改めて本申告」というような流れ、と
言ってもいいかもしれません。
ただし、「申告期限までの仮申告」は配偶者の税額軽減の適用がありません。
そのため、仮申告により支払う相続税は高額になると考えられます。
そして、「期限後に改めて行う本申告」で払い過ぎていた相続税を
還付してもらう、という手続きを行う事になります。