金繰悪産業は土地を借りて資材置き場にしています。毎月の地代は100万円です。
おっと、社長が決算書を見ながら何か考えていますよ。こっそり頭の中を覗いてみましょう・・・。
「・・・土地代が月100万かよ。高いよなぁ。毎年「7」買えるよなあ(注:BMW7シリーズ。)。
そう言えば、この前銀行さんが5,000万円で同じくらいの広さの土地があるけど、って言ってたな。
買った土地を担保に入れれば金繰悪産業さんなら保証協会無しのプロパーで貸しますよって
支店長さん言ってたなあ。
毎月の返済も100万くらいにしときますからって言ってたな・・・。
ん、5,000万ってことは、ざっくりで金利も入れて土地代の5年分くらいで買えるってことじゃねえか。
なんだ!土地代5年分で買えるんなら、即買いだあ!!!!!・・・」
突然ですが、問題です。社長のたくらみは成功するでしょうか?
もう、答えはお分かりですよね。×ですね。
金繰悪産業の社長さんの気持ちも分かります。
が、社長の頭の中には「粗利益」で考えることが抜けています。
同じ「100万円」を支払うのに必要な粗利益はいくらになるでしょうか?
まず、土地を借りている場合。土地代の100万円は全額経費になります。
従って、土地代100万円を支払うのに必要な粗利益は100万円、ということになります。
次に土地を借金して買った場合。借金の返済が毎月100万円あります。
借金の返済は経費にはなりませんから、税引後の利益から払わなくてはなりません。
(損益計算書に「借金返済分」という科目はないですから。)
また、土地は建物や機械・車と違って減価償却できません。
ですので、借金返済額全額を税引後利益で払う必要があります。
法人税率を35%とすると、借金返済に必要な粗利益は154万円になります。
154万円-(154万円×35%=54万円:これが法人税)=100万円。
つまり、約1.5倍の粗利益が必要なのです!
金繰悪産業の場合、年間で648万円の粗利益アップか経費削減効果が必要です。
また、土地を持てば固定資産税も毎年払うハメになってしまいます。
金繰悪産業はこの後どうなってしまうのでしょうか?648万円はなんとかできたのでしょう?
なんとかできないと借金返済と法人税の板挟みに苦しむことに・・・合掌。